日本ポップス伝

2015-12-15
Column

大瀧詠一と云う音楽家をご存知だろうか?

大瀧詠一(出典:Wikipadia)

高校生の時に、親父のカセットテープ棚の中から何気に『大瀧詠一 ナイアガラムーン(1975年)』とラベルされたテープを見つけて、「知らない名前の人のアルバムだけど、暇だし聴いてみるべか‥」と初めて聴いた時、それまでハードロックやヘビーメタル等の音楽を愛聴し、ギターの早弾きにしか興味の無かった私は、そのアルバムから溢れて来る、洗練された旋律や和声やリズム、そしてユーモアを兼ね備えた音楽にとても新鮮な衝撃を受けた。

・何なんだ、この(ヘンテコな)音楽は?!
→でもちょっと面白いし、意外と好きかも‥。

・このコロコロ、キラキラした音は何だ?!(後に松任谷正隆&佐藤博の両氏が弾くニューオリンズスタイルのピアノと判明)
→ギターよりも楽しそうかも‥。

・一体どうやったらこんな音楽が作れるんだ?!
→ピアノみたいに1度にたくさんの音が出る楽器の方が良さそうかも。ピアノを練習してみようかな‥。

都会からやって来た、物知りでオシャレでカッコいいお兄さんの真似をしたい‥。多分、当時はそんな背伸びした様な心境だったと思う。

今の様にYouTubeやグーグルで検索したらすぐに情報を手に入れられる時代では無かったので、とりあえず大瀧詠一という名前を覚えて、後は訳も分からず、ただひたすらそのテープを繰り返し聴いていた。

その後、彼が「はっぴいえんど」と云う伝説のロックバンドのメンバーだった事や『ア・ロングバケーション(1981年)』と云う大ヒットアルバムの作者である事なども知ったが、私はギターからピアノに転向し、他の色々な音楽にも興味が膨らみ始め、彼の音楽とは何となく疎遠になったまま月日が経って行った。

それが先日、娘と一緒に滝川市立図書館で暇つぶしに読む為の本を探していた時に、特集『文藝別冊 大瀧詠一 』という本を見つけ、高校生の時に聴きまくった懐かしさも手伝い、借りてみた。

読み終わってみて、何故に当時の私が『ナイアガラムーン』の音楽に「オシャレで物知りのお兄さん」を感じ、魅了されたかが何となく判明した。

彼は小さい頃から、膨大な量の、様々な種類の音楽を聴き込んで、しかもそれをキチンと整理して自身の頭(身体)中に叩き込んでいた。勿論、ただの物知りではなく音楽家として。 
大瀧詠一氏は、2013年に65歳で急逝されたのだが、その音楽人生の総括として、1995年と1999年にNHK-FMで『日本ポップス伝』『日本ポップス伝2』と云う5夜連続の番組を放送していた、と云う事も本に書かれていた。

YouTubeで探してみるとすぐに見つかり(便利な時代だ…)、早速聴いてみた。

本の中に書いてあった「(インタビュアー)大瀧さんは、ある音楽の前には常に先達があり、時間を遡るほどに枝分かれして無限に広がっていくという考え方をされています‥。(大瀧)それは仏教のお坊さんが、あなたをずっと遡ってゆけばあなたの前には何百万人だかのご先祖様がいる事になるのだから大事にしなさいというような事を言っていた。それと同じことでしょ?(前述『大瀧詠一』より抜粋)」という考えと、自身が持つありったけの音源と情報を「自分の遺言のようなもの」としてまとめた内容となっていた。

ちなみに、内容をより多くの人々に共有して貰いたいと云う気持ちから、無料で聴けるFMラジオという媒体を選んだとのこと。

残念ながら現在はYouTubeから動画は消えてしまったようだが、機会があれば是非彼の音楽に触れて欲しいと思う。