15,16,17と出逢った音楽一生モン⑦

2021-08-20

第7回目

17歳〜18歳(1989年〜1990年頃)
『内に向かうエネルギー』

高校2年生だった当時の僕は進路で悩んでいた。

ギタリストとしてバンド活動をしながらもピアニストに憧れを持ち始めており

「アルバイトをしながらバンド活動を本格的に始める」「音楽大学で学びながらピアニストを目指す」「普通の大学に進学する」

という三つの選択肢の中で彷徨っていた。

特に音大受験に関しては「ピアノは弾けないけど東京芸大の作曲科は可能でしょうか?」などと高校の音楽の先生に相談するほど真剣に考えていた(先生からはとても難しいと言われたが…)。

そんな「自分は何がしたいのか?」と自問自答を繰り返す日々にピタっとハマった音楽が

当時、TVコマーシャルで流れていたブルガリアン・ヴォイスと、音楽の授業で見た映画「アマデウス」の中で使われていたモーツァルトのレクイエムだった。

どちらの音楽からも神秘的というか、内に強く向かうエネルギーを感じて、すっかり魅了されてしまった。

ただ、影響が強すぎたのか僕は考えすぎから精神的に参ってしまって、病院の精神科を受診する羽目になってしまった(問診と精神安定剤の処方の一回で終わったのだが)。

その後もしばらく調子は良くなかったのだが、そんな僕を救い出してくれたのが、たまたま里帰りで遊びに来ていた東京の叔母の「やっちゃん、うまい飯でもたらふく食べてのんびりしてな」という言葉と、相談に乗ってくれていた音楽の先生の「山下君はね、普通の大学に行って好きに音楽活動した方が良いと思うよ」という言葉だった。

結果、僕は国公立の大学を目指しながらピアノの練習を始める、という道を選んだ。

振り返れば、どちらの言葉も「考え過ぎずに等身大の自分を見つめなさい」いう事を教えてくれた様に思う。

ちなみに今でも上述の二曲を聞くと遠くに引っ張られるような気がするので、普段はあまり聞かないようにしている。