大切な原点

高校3年の時、音楽の授業の自由発表の時間に初めて人前でピアノを弾いた

曲はその当時に映画を観て感動した、坂本龍一「ラストエンペラーのテーマ」

ピアノ経験ゼロだったが、若気の至りから頑張れば出来ると信じ、2か月かけ毎日少しずつ耳を頼りに音を拾い、譜面が読めなかったので身体で覚えた

今となってはそれがどんな演奏だったのかは思い出せないが、演奏中の気持ちだけは鮮明に覚えている

「こんなに格好良い音楽を演奏出来る俺は何て格好良いんだ」と(笑)

演奏前に気合を入れてワイシャツの袖をまくった時にクラスメートから「よっ、龍一!!」と囃されたのも嬉しかったし、演奏後、先生から「私はこの曲は知らないが、ドビュッシーからの影響を強く感じる」と褒めて頂いた(後年坂本龍一氏がドビュッシーの影響を強く受けていた事を知る)のも忘れられない

音楽に携わっていると、時に自分をより良く評価して貰いたい気持ちになる事がある

そういう時はつい技術的な事や己の独自性に頓着してしまい、進むべき道にも迷ってしまう

ただ、音楽を聴いた時の感動を忘れなければ、私達は「音楽」という昔から続く村の住人で、己の感動を仲間と共有したいのだ、と云うシンプルで大切な原点にいつでも戻れると思う

僕が擦り切れる程に聞いたビデオの音源はYouTubeでは見つからなかったが、これは1番好きなバージョン