第4回目
19〜20歳(1991〜’92年頃)
『縁は異なるもの〜音楽は芋づる式』
大学2年生まで暮らしていた小樽の下宿には風変わりな同期の連中が揃っていた。
年齢も出身地も所属サークルもバラバラで、特別に仲が良かった訳でもないのだが、タイミングが合えば誰かしらの部屋に集まり、お茶を飲みながら深夜まで哲学的な話をしたり、お互いの知識を共有し合ったりと、つかず離れずの不思議な間柄だった。
ある日、隣の部屋に住んでいたO君が「ニッキ(僕の大学でのあだ名)。今ラジオでスゲーヤバい音楽が流れているぞ」と教えに来てくれた。
すぐに彼の部屋に行き、ラジオから聞こえてくる音楽に僕は釘付けとなった。
「何だこのサウンドは…」
同じような音の繰り返し、列車の模倣音、そして外国語で語られる言葉。
後日、番組ナビゲーターが語った「作曲家Steve Reich(スティーブライヒ)の何だかトレインズ」との情報を頼りにCDショップへ行き、そして見つけたのがクロノスカルテットの「Different Trains/Electric Counterpoint」というアルバム。
部屋で聴きながら「ラジオと同じサウンドだ」と安堵しながらジャケットをじっくりと見てみると、なんとPat Metheny(第3回目で前述)がカップリングされているではないか!
「ラッキー!これは縁があるな…」
O君のお陰で、その後すっかりとSteve Reichにハマったのだが、数年後に憧れの坂本龍一氏(第2回目①)がインタビューの中で、大好きな曲としてSteve Reichの「Music For 18 Musicians」を挙げているのを知り、「音楽は芋づる式に繋がっているんだ」という事を実感した。